プラズマウォーターと代謝と酵素の基礎知識
代謝が良くなると、体調が良くなる……。
良く聞く言葉ですが、代謝には多くの酵素が関わっていることまでは知られていません。酵素を科学的に解釈すると「生体触媒」と認識されています。
低温プラズマには、触媒を活性化する機能があることが分かっており、多くの工業の現場で採用されています。今回は、その代謝と酵素の基礎知識を含めて、放電処理水(プラズマウォーター)が、どんなふうに生物に役に立っているかを紹介していきます。
代謝と酵素
代謝とは
植物も動物も代謝をしています。植物は「同化」という代謝をしていて、動物も「異化」という代謝をしています。代謝とは細胞の中の化学反応のことを指します。当然、化学反応にはエネルギーが必要です。
同化

植物の代謝は「同化」といい、水や二酸化炭素などの無機物から光合成で得た光エネルギーを利用して、グルコースなどの有機物を作ります。
植物は、自分の生み出した有機物で自分の身体を作っています。
異化

動物の代謝は「異化」といい、グルコースやたんぱく質などの有機物から、化学エネルギーを利用して分解し、無機物を作ります。
呼吸で吸った酸素は、エネルギーを作り出すのに利用します。こうしてできた化学エネルギーは、運動エネルギーや熱エネルギーとして転換して生命活動に利用しています。
化学反応と活性化エネルギー

細胞内の化学反応を正しく進めるには、エネルギー障壁を乗り越える必要があります。
例えば、坂に向かってボールをけり上げるとします。ボールにエネルギーが足りないと坂を登れず戻ってきますが、十分なエネルギーがあれば坂を越えて向こう側に行くことができます。
化学反応の場合でもこれと同じで、障壁を乗り越えるためのエネルギーが必要です。このエネルギーを、活性化エネルギーといいます。
とはいえ、そもそも生物の身体を維持するには多くのエネルギーが必要です。そのため、なるべく無駄をせず効率よくエネルギーが使えるよう、生体内には生体触媒が数多く存在します。この生体触媒のことを酵素といいます。
酵素のはたらき方

酵素は、主にたんぱく質でできていて、立体構造をしています。特定の基質と酵素は結合するようにできていて、酵素は様々な形をしています。
人の体内の酵素が活性化する温度は35~40℃で、種類によって活発になるpHの値があります。
基質は、反応の前後で形が変わりますが、酵素は化学反応の前後で形が変わりません。
植物も動物にも共通する小器官ミトコンドリア
動物より植物の方が細胞の機能が多い
私たち人間は、とかく自分たちの方がほかの生物より優れていると勘違いしますが、実は細胞レベルで見ると、植物の細胞の方が動物の細胞より多くの機能があり優れています。
例えば、植物の細胞には、動物の細胞にはない葉緑体がありますし、しっかりした細胞壁もありますし、栄養を蓄えるための液胞もあります。植物は、空気の成分の二酸化炭素と太陽の光エネルギーから有機物を生み出せますが、動物は有機物を分解して使うことしかできません。
しかし、動物と植物の細胞の中に共通している小器官があります。それがミトコンドリアです。
細胞共生進化説

細胞共生進化説では、動物も植物も両方に共通する先祖があると言っています。
共通の祖先となる古細菌は、中心となるDNAが存在する核に壁が存在せず、酸素が使えない生命体でした。
あるとき太古の地球上で、光合成の機能を持ったシアノバクテリアがなぜか急増します。
そこまでの酸素は、二酸化炭素(CO2)など「酸化」という形態でさまざまな物質と融合していました。シアノバクテリアには光合成の機能があり、急増したことで酸素分子が単体で大気中や水中に発生しました。
私たちの祖先の古細菌たちの立場からすると酸素は猛毒で、大気中や水中に酸素がある中で生きることができません。そのため、酸素の使える好気性細菌(ミトコンドリアの祖先)を自分の体に取り込み、その酸素を使う機能を使って生き残ることにしました。
好気性細菌は、古細菌の中で共生していく過程で必要性がある機能だけを残すことにしました。それが、現在の細胞小器官のミトコンドリアになったと考えられています。
また、植物細胞には、さらにシアノバクテリアが共生します。シアノバクテリアは前述のとおり光合成をする機能があります。これもまた、古い細菌と共生することにより、余計な機能を減らし小器官の葉緑体になります。
動物・植物に共通するエネルギー源、ATP(アデノシン三リン酸)
エネルギーが植物の代謝を進める

細胞の中に共生したミトコンドリアは、ATPというエネルギー源をもっていました。
ATPとは、アデノシン三リン酸という物質の略称です。アデノシンは、私たちのDNAを構成する塩基の一つアデニンを基礎としています。このアデノシンに3つリン酸がくっついた形になって、アデノシン三リン酸(ATP)となります。
身体を車に例えると、ATPはガソリンのような役割をします。
ATPは、おもにミトコンドリアの電子伝達系にあるATP合成酵素で生産されています。
生成されたATPは、細胞の小器官へ向かいいエネルギーを渡してADP(アデノシン二リン酸)になりATP合成酵素に帰り、またエネルギーを与えられてリン酸とくっついてATPになり、再びエネルギーを渡しに小器官へ向かいます。
動物は、このATPのエネルギーを使い、物質の分解や合成をします。エネルギーは転換され、熱エネルギーとなって体温を維持したり、運動エネルギーとなって筋肉を収縮させたりしています。また、蛍はATPのエネルギーを利用して発光しています。
ATP測定キットで放電処理水(プラズマウォーター)を測ってみると
ATP測定器

ATP測定器は、食品や飲食業界や医療分野などで、環境衛生や品質管理などの目的で幅広く使われています。ATPはすべて生物の細胞に存在するので、ATPを計測することで微生物や有機物の汚染度を評価することができるのです。
この計測器は、検査試薬に検査液を入れて使用します。
検査試薬は、酵素ルシフェラーゼと発光物質ルシフェリンという2つの種類の液が層をなして入っています。これは、蛍の発光現象を作る物質で、検査液中に微生物などがいれば、そのATPのエネルギーを使って発光物質が光るという仕組みになっています。発光量で、どれだけの微生物や生物などがいるのかを知る事ができます。逆に、微生物が含まれない検査液では、発光することはありません。
プラズマウォーターで酵素活性を確認

ATP量計測のときの一般的な化学反応のグラフは、経過時間に沿って、反応が始まって反応して終わるという台形の形になります。
例えば、試験する液にATPが存在すると、しっかり反応して発光し反応が終わると光量が減ります。水道水や工業用純水を測ったときは、ATPは含まれていないので発光現象は起こりません。
ところが、放電処理水(プラズマウォーター)そのものをATP測定器で測ってみたところ、不思議な数値が出てきました。微量ながら、横ばいに一定に反応し続けているのです。一般的な台形のグラフではありませんし、数値も不自然なほど微量です。

ところで、工業の世界では、低温プラズマの技術が触媒の活性につながるのが分っていて、多くの現場で利用されています。
放電処理水(プラズマウォーター)中にATPは存在しません。それなのになぜ、発光量が確認できるのでしょうか。
計測データのとても微量な数値の反応数と、プラズマの触媒活性の実例を考えると、試薬に使われている酵素自体が活性化して、発光物質と反応していると考えるのが自然でしょう。
横這いの数値は、ATPというエネルギーを使わずに、プラズマの影響で試薬中の酵素が活性化し続けて発光物質が光り続けていると考えられます。放電処理水で、酵素が持続的に活性化するのです。
放電処理水(プラズマウォーター)の酵素活性で生物の代謝が加速する
代謝に関わる酵素はどれくらいあるのか
ところで、酵素の種類は生体内にどれくらいあるのでしょう。代謝に関わる酵素を集めてみました。
植物の酵素は下図のとおりです

そして、動物の代謝は下図のようになります。呼吸で吸った酸素の終着点が、電子伝達系になります。

動物の代謝に関わる酵素は下図のとおりです。

……嫌になるほどありますね。
これらは、あくまで代謝だけに使われる主な酵素であり、生物の体内にはまだたくさんの酵素があります。私たち人間が外の社会でなにがあろうと、酵素は、身体の生命維持のために粛々と化学反応を進めるという仕事をしています。
放電処理水(プラズマウォーター)で酵素が活性化するということが分かっています。そのため、放電処理水を体内に取り込むことにより、嫌になるほどある多種多様な酵素が活性化します。体内の酵素が全て活性化すると、当然、エネルギー効率の高い生命活動が可能になります。それは端的に言うと、身体が「元気になる」のです。
放電処理水(プラズマウォーター)の酵素活性を認識すると、生命体の代謝も良く分かります。
余談の、なるほど科学の予備知識
プラズマDPF

触媒は、工業的には部品です。私たちの身近にも、プラズマの触媒活用を利用した例は多くあります。
例えば、自動車の排ガス除去装置「プラズマDPF」もその一つです。プラズマを白金でできた触媒に当て、排ガスを化学分解しています。
近年では技術が進み、排ガスを除去するだけでなく、走る空気清浄機として、走れば走るほど空気をキレイにする、という発想の自動車も登場しています。
これも、低温プラズマの触媒活性の実例になります。